詰みの数学がわかってきた気がする
以前から藤井竜王が超長手の詰めを完璧に指せるのが不思議でならなかった。あれ、AI超えてるんだよね。でも、いくら藤井名人でもAIを超えて計算できるわけがないから、何か詰みの呼吸というのを知っているはずだと思っていたわけだ。
そこでたとえば次のような局面。これ9手詰め。
△6八飛打 ▲9七玉 △8八角打 ▲8六玉 △8五金打 ▲同玉 △8四金打 ▲8六玉 △8五金打
プロならなんでもないだろうが、素人にはこれでも難しいし、実戦の中指すのは不可能に近い。んが、あることがわかればこれ9手で詰めるだろうということから逆算できる。
この盤面、王様が逃げることができるマスは3か4ある。こっちには金があるから、7五から逃げることはできずに、8五か8四で捕まえられるはずなわけ。こちらの手番と相手の手番は順々にくるから、4マス相手が逃げられる場合、△打 ▲逃げ △打 ▲逃げ △打 ▲逃げ △打 ▲逃げ △詰みと、9手で詰むわけだ。この場合、こちらは五枚新しくコマを打つか、盤上にあるコマを動かして王手をかけることができればよい。こっちには6枚打てるコマがあるから、まあ詰ますことができる、と大まかに考えられるわけだ。
そんな大雑把な計算でいいのか、と思われるかもしれないが、こういう大局観を持っておくのは絶対に役に立つ。というのも、詰むか詰まないか、を手順だけで考えるのは無理があるからだ。相手の王が逃げる道よりこちらのコマが多い場合は詰むかもしれないと考えながら打つことで、詰みを見逃さない視力が生まれるはずだ。たぶん、藤井六冠はそういう眼力を持っている。
さらに細かいことを言えば、▲9七玉と逃げられたときに斜めに効くコマがいるとか、8五金の捨てゴマとか、そういうのは慣れればすぐにわかることだと思う。例えばこっちに金のかわりに銀が一枚でもあれば7五から逃げられて詰まないとか、そういうのもまあ慣れでわかるようになるはず。そういうのを順々に道筋をたてて考えるのは相当難しいが、逆算して考えれば楽なわけだ。つまり、相手が逃げる道と、最後の最後に逃さないために必要なコマがこちらにあるかどうか、それだけ見ておけば、最後→途中→最初と逆算して考えられる。詰みの状況を先に読んでおいて、途中で必要な道筋を埋めていく楽な思考ができる。
そして、もしこういう考え方をAIが身につければ、今よりもっとずっと精確な状況分析ができるようになるはずだ。
考え方を数学っぽく書いておく。相手の王が逃げるマスをnと置く。こちらの必要なコマはn+1だが、これは述べで考える。詰み手数は2n+1となる。なお、こちらの手駒か使える範囲の盤上に金か馬か龍があるか、もしくは相手から金を奪えるものとする。ない場合は、盤の状況を細かく考えないといけない。
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